2019.03.18 配信
第695号 「 七年目の自主避難 」

□◆◇◆◇■□■□◆◇◆◇■□■□

田中優の“持続する志”

優さんメルマガ 第695号
2019.3.18発行
http://www.mag2.com/m/0000251633.html

■□■□◆◇◆◇■□■□◆◇◆◇■□



Contents
…………………………………………………………………………………

1.『七年目の自主避難 』

2. 天然住宅の賃貸をご覧いただけます!

  3/23(土)・24(日)天然住宅 無料見学会@埼玉を開催!
  〜菜園・床暖房つき賃貸『だんだんハウス』〜
  3/24 14時〜は田中優セミナーも♪
  
…………………………………………………………………………………


□◆ 田中 優 より ◇■□


『七年目の自主避難 』


 今年も3月11日を迎えた。多くの人の人生を変えた原発事故から八年。
私自身が東京を離れて岡山に移住してから七年になる。言葉にすれば「自主避難」
だ。それは定義上、災害時に市などが発する避難勧告や指示を待たずに避難した
人を指すことになる。

 ところが日本ではその「避難勧告」レベル自体が怪しい。事故前までは年間1
ミリシーベルトを超える被ばくはしてはならないはずだった。しかしその基準は
事故後に20ミリシーベルトまで上がり、100ミリシーベルトまでは影響は出ない
などと言われる有様になった。


 被ばく量と健康影響を簡単に言えば、確率的に疾病にかかる確率が上がるという
ことだ。現在世界で主流になっているのは「低線量の被ばくであっても、被ばく量
に応じて直線的に被害が増える」となっているから、他の人の20倍、あるいは100
倍病気になる確率が上がるということになる。先日話題になった水泳選手の白血
病の告白だが、その土地は元の我が家(都内)からわずかしか離れていない地域
だった。


 さらにもう一つ事情が加味される。子どもは大人より疾病になる確率が高く、
放射線被ばくは距離の二乗に反比例するから、より近くから被ばくすると危険
になるのだ。


 私は幸い仕事をすでに辞めていたから引っ越すことができた。さらに家のロ
ーンも完済の見通しがついていたから無理にそこに住む必要もなかった。私は
原発問題をそれ以前から問題にしていたし、そのシミュレーションもしていた
からこのまま東京にいるべきではないと思った。あくまで確率の問題だが、妻
が期待している新たな子を育てることになれば、放射線値の高い場所に住んで
いるのは望ましくないと思ったのだ。


 そして「自主避難」した。その言葉はまるで神経質で特別な考え方をしてい
るかのように聞こえる。実際、それまでたくさんいたはずの放射能を気にする
人々の数、新たに心配するようになった人々の数と比べて、移住した人の数は
いかにも少ない。移住するための「条件が整わなかった」人が多数なのだろう。
私自身はその条件が偶然整っていたから移住できたのだと思う。


 その条件が十分ではなくとも、放射線量の高さに背中を押されて移住した人
たちの中に自殺者が増えている。ある文に書かれていたその女性は福島県郡山
市に住んでいて、通常の40倍以上の放射線量を見て、子どもを守りたい一心で
東京に自主避難した。


 夫は「周囲の人がそのまま暮らしている」「国が安全だと言っている」とい
う中で理解せず、やがて彼女は自分と子で暮らすためにダブルワーク以上をし
て働かなければならなくなった。そんな中で住宅支援も打ち切られ、睡眠薬な
しに眠れなくなっていった。夫に理解されることもなく、夫の収入の高さによ
って住宅の居住もできなくなり、彼女は絶望して首を吊った。この事例では
「自主避難」という言葉が、「自分勝手に」という意味に聞こえる。周囲の考
え方に従わなければいけないのか。


 ほんのわずかな偶然から、生き延びられたり死ぬしかなくなったりするのだ。
日本の状況は周囲を含め冷たいと思う。自分に非がなくとも死を余儀なくされ
るのだから。通常の40倍以上の放射線でも救いの手が差し伸べられない。


 資産家への課税は減らされているのに普通に暮らす人々への税は上がってい
く。事故を起こした東電は助けられるのに、その被害に遭った人々は見捨てら
れる。その「原子力損害賠償紛争解決センター(ADRセンター)」では、せっか
く中立的な機関からの調停金額が提示されても、東京電力側が認めない。実に
120件以上が棚ざらしにされている。


 私自身は定職がなくて利用できなかったが、新たに岡山県和気町周辺に住む
場合にアパート代程度の金額で支払い可能な「フラット35」融資の仕組みを利
用した新規住宅のローンを作ってみた。土地価格の安い地方だからこそ成り立
つ仕組みだ。建物は私のしている非営利の「天然住宅」の仕様だから、化学物
質のない住まいで永く住まうことを前提として建てている。もちろん「フラッ
ト35の利用条件」はあるが、選択の一つにはなるだろう。小さな子を育ててい
るのであれば、さらに金利の安いフラット35「子育て支援型」も利用できるよ
うになった。


 何かと「自己責任」と言われる日本だが、自殺まで考えなくて済むような仕
組みを作りたい。地域や自分たちでも可能になる仕組みを考えて、ぎりぎりま
で他をあてにしないですむ暮らしを実現したい。


 そこにさらに余裕のある庭に自分で農地を作っていく、「食べる庭」の仕組
みを入れたらどうだろうか。元気な体を作る食べ物を作れるコツは土作りにあ
ると思う。それは微生物たちのマンションになる炭を入れて、生ごみと土を混
ぜて発酵させた土作りでできるのだと思う。


 うまく土作りに成功すれば、虫の繁殖しない栄養素豊かな土地ができる。
そうすれば買い物で悩まなくても自分で無農薬の作物を作ることもできるだろ
う。栄養素で大事な根、皮、生長点を活かしきった調理もできる。それは働か
なければならない収入の圧力を下げていくことにつながるはずだ。


 私は死を選ばなくてすむような社会を作りたい。それはもしかしたら言葉以
上に大変なことかもしれない。それでももう一つの選択肢のあることを伝えら
れるのではないだろうか。


 今と違う場所に住むこと、
 今とは違う仕事に勤めること、
 今とは違う生活をしていくこと。


 それも元気に暮らすときには楽しみになる。生活はときに悪循環に入ってしま
うこともある。そんなとき、何か一つをきっかけにして、良循環に向かうことも
ある。あなたが失われてしまったとき、周囲の人たちは力になれなかった自分の
不甲斐なさに思い悩むことになる。周りの人にそんな思いをさせずにすむように、
別な可能性も傍らに準備しておきたい。


 別な選択肢がある時、圧迫されているような閉塞感に、少しだけ風が吹き込む
ように思うからだ。




(川崎市職員労働組合様へ寄稿したものを、好意を得て転載しています。)



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆3/23(土)・24(日)天然住宅 無料見学会@埼玉を開催!
 〜菜園・床暖房つき賃貸『だんだんハウス』〜
 3/24 14時〜は田中優セミナーも♪ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 

完全予約制で各回組数制限がございますので、お早めにお申し込みください。


都心に通いながら、心地よい郊外生活を楽しみたい方へ向けて
3戸の賃貸住戸を設計・建設しています。
大宮駅であれば、片道30分強、新宿駅でも片道1時間強の立地。
 

各戸は18坪とこじんまりとしていますが、窮屈にならないように、
家事導線や収納の設置場所に気を使って設計しました。
 

日射のコントロールや、風が室内を心地よく通り抜ける配置、
床暖房の設置など四季を通じて自然と心地よく暮らせるように設計しています。
 

そして賃貸住宅でもいつも通り、素材に妥協せず、国産無垢材100%、
合板集成材不使用、自然素材をふんだんに使用した住宅です。
 

無垢杉の香りと、柔らかさ、心地よさ、
自然素材でつくる空間の気持ちよい空気感をぜひ体感いただければと思います。


天然住宅特有の「新築のにおい」をぜひ体感しにいらしてください。
 

★建物データ
延床面積:189.77平方メートル
間取り:2LDK×3戸
工法:木造(強化筋交い)
 

▼オーナー様作成のホームページもぜひご覧ください。
だんだんハウスのホームページ
https://dandan11ie.wixsite.com/dandanhouse

 
▼企画・建築の様子はこちらをご覧ください
https://tennen.org/blog/tennnenxchinntai


  
■日時 

3月23日(土) 13:00〜、14:30〜
3月24日(日) 10:00〜、11:30〜、☆14:00〜


☆3/24(日) 14:00〜16:00の回は、
田中優のミニセミナーも予定されています。

天然住宅代表田中優から家づくりの際に気にしてほしいことや、
家づくりから社会を変える方法についてお話いたします。
他の会より30分長い時間を設定していますので、
建物の見学やスタッフとの質疑応答の時間もございます。

 
■場所 埼玉県上尾市
 
■参加費 無料
 
■当日は安全素材で作られた、「すまうと」さんの家具も展示予定です
 すまうと http://www.smaut.net/


■申し込み
下記フォームよりお申し込みください
https://tennen.org/event/dandanhouse-openhouse.html




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


DMMオンラインサロン
  『田中優ラボ - 七世代先の未来に責任を持とう -』


ただいまサロンメンバーを募集中です。

https://lounge.dmm.com/detail/962/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【書籍】

■文庫本「幸せを届けるボランティア不幸を招くボランティア」
(河出文庫)
http://tanakayu.blogspot.com/2017/01/blog-post_26.html


■「未来のあたりまえシリーズ1
ー電気は自給があたりまえ オフグリッドで原発のいらない暮らしへー」
(合同出版)
http://www.godo-shuppan.co.jp/products/detail.php?product_id=401


■「放射能下の日本で暮らすには? 食の安全対策から、がれき処理問題まで」
(筑摩書房)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480878663/


■「子どもたちの未来を創るエネルギー」(子どもの未来社)
http://www.ab.auone-net.jp/~co-mirai/miraienergy.html


★その他これまでの書籍一覧はこちらより
http://www.tanakayu.com/bookslist.php



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●講演会・メディア・書籍・動画などの情報はこちらへ
田中優公式HP http://www.tanakayu.com/

● facebook 「田中優コミュニティ」 現在10,035人!
「いいね」をぜひ押してください☆ 最新情報を随時アップしております。
http://www.facebook.com/tanakayupage

● twitter 「田中優スタッフ @_tanakayu 」
https://twitter.com/_tanakayu

●ブログ 田中優の‘持続する志’ http://tanakayu.blogspot.jp/

●田中優 有料・活動支援版メルマガ「田中優の未来レポート」
http://www.mag2.com/m/0001363131.html
活動支援金 540円/月(登録初月は無料)活動を応援くだされば嬉しいです。

●公式オンラインショップ  https://tanakayu.thebase.in/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■□ 発行者、講演・取材の窓口 ■□
合同会社OFFICE YU 担当渡辺
MAIL officeyu2011@ybb.ne.jp
◎田中優の“持続する志”
のバックナンバー・配信停止はこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000251633/index.html