2018.12.27 配信
第686号 『「原子力損害賠償支援機構法」の見直しと未来 』

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田中優の“持続する志”

優さんメルマガ 第686号
2018.12.27発行
http://www.mag2.com/m/0000251633.html

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今年も残りあとわずかですね。
年末は大寒波の予報も出ているそうで、皆様お気をつけください(>_<)



Contents
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1.『「原子力損害賠償支援機構法」の見直しと未来』

2. バイオマス発電8割動かず 林業人手不足、燃料輸入頼み

3.地球温暖化による穀物生産被害は過去30年間で平均すると 世界全体で年間424億ドルと推定


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□◆ 田中 優 より ◇■□


『「原子力損害賠償支援機構法」の見直しと未来 』



 「原子力損害賠償」とは何なのか。

 その見直しが国会で進んでいるが、その衆参附帯決議では、以下のように決議
されている。


・国民負担の最小化を図ること。

・「抜本的見直し」に際しては、原賠法3条の責任の在り方、
7条の賠償措置額の在り方等国の責任の在り方を明確にすべく検討し、見直しを行う。

・損害賠償交付金は、原子力事業者が、原子力損害を賠償する目的のためにだけに
使われること。


 とされている。


 ところがこの賠償法で想定されている賠償額はわずか1200億円で、2016年12月
に国が閣議決定した東電負債見積額でも22兆円(損害賠償費用8兆円、除染・貯
蔵等費用6兆円、事故炉処理等費用8兆円)だ。わずか183分の1でしか予定してい
ない。

 足りない分をどうするかというと、「事故前には確保されていなかった分の賠
償額の不足金は全需要家の負担」として、負担金を「電気料金及び託送料金から
回収する」と決定している。


 その結果が今の事態だ。放射能の汚染度の高いかつて避難を命令された地域で
も再び住めるとされて「帰還」可能とされた。ところがその地域は本来の年間1
ミリシーベルトまでの被ばく量を大きく超え、年間20ミリシーベルトとそれまで
の基準の20倍とされてしまっている。原発作業員がそこに入るためには、「まず
手袋と靴下を二重三重にして、その上から長靴を履く。着るものは使い捨ての汚
染防止服。その上から厚手のカッパを羽織ることもある。呼吸から放射性物質を
取り込まないよう、顔には防毒マスクのような形をしたマスクを着ける。さらに
放射線量が高い場所では、線源に鉛シートをかぶせて作業員の被曝を抑える」
汚染線量なのだ。


 この汚染地には子どもの帰還も前提にされている。しかし帰還させられる地域
の放射線量はレントゲン技師などの被ばく規制値を超えており、その場合なら18
歳未満の子どもや妊娠可能性のある女性は除かれる。これはとてつもない被ばく
を強いることになる。そのため国連人権委員会はこの被ばく線量を1ミリシーベ
ルトまでに規制するよう求めたのだ。


 放射能の影響は一定以上から被害が出るという「しきい値」がなく、一定量を
被ばくした集団には一定の確率で被害が出るものと国際的には考えられている。
これを「確率的影響」といい、どの人が被害に遭うかはわからないが、集団では
被ばく量が増えると確実にがんなどの疾病の確率を高めていくというものと理解
されている。


 さらに現実を見てみると、福島原発事故後わずか6年間で、胃がんなどに統計
的に有意な増加が生じてしまっていた。
https://level7online.jp/?p=1744&fbclid=IwAR0FL8Ept7mBrPoMvmooH2JbthYa70zUVjfDZjMm1M3ARnCkeT8pJJqRTO0


 さすがにこの事態に際して国際人権委員会はよしとしなかったのだ。ところが
日本政府はいろいろと反論して従わない。それに対して人権委員会はいちいち反
論すらせずに勧告を出した。


 こうした被害に対して損害賠償がされない。避難する費用の補償もされなくな
ったので汚染地に帰還しなければならない。汚染を避けて避難することを賠償し
ないので、人々は自主避難しなければならない。つまり強制保険すら加入してい
ないクルマに衝突されたので、自分で何とかしなければならないのが日本の法制
度なのだ。

 クルマなら運転してはならないが、原発ならできてしまうのだ。それが現状の
「原子力賠償賠償支援機構法」の現実なのだ。それが改正されるはずだったのに、
現状ではそのままに放置されそうになっている。なぜか。電力会社の利益を守る
ためだ。人々の「命の値札」はタダのままにして、その機械だけの賠償保険にし
ようとしている。


 こんな政府しか持てない国民は不幸だ。しかしその国民たちの選択の結果であ
るとも言うことができるのだ。私は無保険でクルマを走らせるのが禁止されるよ
うに、原子力も無保険で運転すべきでないと思う。それは当たり前のことだと。
この先の福島原発の処理費はさらに増大する。どれほどの処理費・賠償費が必要
になるのかわからない。それを改正するこの機会に、そのままの額に押し留めよ
うとするのが今の政府だ。


 この「改正」の機会を徒過してはいけないだろう。あなたの命の値札はタダの
ままでいいのか。このまま無保険で暴走させて良いのか。もし「許せない」とし
てきちんと改正させるなら、原子力は保険も掛けられないほど高いつくものであ
ることが明らかになるだろう。原子力は経済的にも合わないものになる。つまり
経済合理的に止めることができるのだ。


 もともと日本で初めて原子力発電所が作られたとき、その保険をイギリスの
「ロイズ」保険会社に掛けようとして断られている。地震・津波など天災が多い
日本に掛けられるはずがないだろうという理由だった。そこで賠償する額を小さ
くすることで成り立たせた。そのツケが今ごろになって明らかになったのだ。
損害保険ですら成り立たないリスクは対処できない。今、地球温暖化によって
その被害の賠償に損害保険が成り立たなくなってきているのと同じことだ。


 損害保険すら成り立たないものには隠された賠償されない被害がある。あなた
の命の値札がタダでないのならば、賠償されければならない。原子力賠償保険が
整備されないことには私たちの命はタダ取りできるものになってしまう。だから
正に人権の問題なのだと思う。もう合理的に成り立たない原子力はなくさなけれ
ばならない。



(川崎市職員労働組合様へ寄稿したものを、好意を得て転載しています。)




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◆ バイオマス発電8割動かず 林業人手不足、燃料輸入頼み ◆

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輸入した木材かす燃やして国内の森は荒れるがまま。
こんなことしたって何にもならないよ。

国産の木材かす使わないと。
 


  ◇   ◇   ◇   ◇  

 
▼「バイオマス発電8割動かず 林業人手不足、燃料輸入頼み 」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38774900R11C18A2000000/より



 植物などの生物資源を燃やして電気をつくるバイオマス発電がカベに突き当た
っている。燃料の確保が難しく、政府の固定価格買い取り制度(FIT)の認定を
受けた案件の8割以上が稼働していない。天候に左右されない安定した再生可能
エネルギーとして期待がかかるバイオマス発電だが、人手不足もあって国内の森
林資産を生かし切れず、燃料の輸入頼みに拍車がかかっている。



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◆地球温暖化による穀物生産被害は過去30年間で平均すると 世界全体で年間424億ドルと推定◆

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温暖化のせいで食糧生産が減ってきている・・


  ◇   ◇   ◇   ◇  


▼「地球温暖化による穀物生産被害は
過去30年間で平均すると 世界全体で年間424億ドルと推定」

http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181211/20181211.html?fbclid=IwAR3o0DFnpvKngYvpCisTRfoAtXINwqdnc7976MvTjXr6geOE7rLGCU3Tl2c より


農研機構は、(国研)国立環境研究所および気象庁気象研究所と共同で、地球
温暖化が主要穀物の過去30年間(1981-2010年)の平均収量に与えた影響を、
世界全体について評価しました。なお、収量は単位面積あたり生産量です。

 その結果、温暖化によりトウモロコシ、コムギ、ダイズの世界平均収量がそ
れぞれ4.1%、1.8%、4.5%低下したと推定されました。金額換算ではトウモロ
コシ223億ドル、コムギ136億ドル、ダイズ65億ドルと推計され、近年の温暖化に
よる被害額は合計で年間424億ドルに上ると見積もられました。




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