2017.12.26 配信
第629号 2018年夏上陸「日本版グラミン銀行」はサラ金とこの国の貧困に勝てるか?=田中優

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田中優の“持続する志”

優さんメルマガ 第629号
2017.12.26発行
http://www.mag2.com/m/0000251633.html

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Contents
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1.2018年夏上陸「日本版グラミン銀行」はサラ金とこの国の貧困に勝てるか?=田中優

2.自民・船田氏「まず9条加憲、次に2項削除を」

3.資本主義に危機 租税回避、公正な競争阻害

4. おススメ映画 劇場版「ほたるの川のまもりびと」 予告編

5. 石木ダムより「水道漏水対策を」 市民団体請願、不採択

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◆2018年夏上陸「日本版グラミン銀行」はサラ金とこの国の貧困に勝てるか?=田中優◆

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2017.12.23発行しました!

「日本版グラミンバンク設立」に向けて書いた原稿です。
ぜひご一読ください。


 今、設立の準備が進められている「日本版グラミン銀行」は、
バングラデシュのグラミン銀行と同様の仕組みで小口の融資を行い、
お金に困っている人々の生活や自立を支援するものだ。

 私はこの試みにエールを送りたい。ぜひ実現してほしいと思う。
しかしそのためには、日本の特殊な状況を乗り越える必要がある。


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▼「日本の貧困」をマイクロファイナンスで克服するための条件

―「グラミン銀行」とは?


 グラミン銀行を知っているだろうか。バングラデシュで土地なし農民など貧し
い人たちに融資し、生活を向上させ、多くの人に未来の可能性を切り開いてみせ
た、市民による市民のための銀行だ。

 その融資方法は、資産のある人たちに融資するのではなく、資産のない人たち
にグループを作らせ、5人1組の組合に融資していく仕組みだ。連帯保証ではなく、
お互いに納得できる事業に融資し、1人目がきちんと返済すれば、次の人も借り
られるようになる仕組みだ。

 そのグラミン銀行は、人々がお金を借りに出かけるのではなく、銀行の方から
必要としている人々のところに融資の提案に来る。銀行側が村に来て、人々に貧
困から抜け出せる可能性を感じさせていくのだ。


 だが、まず知っておくべきなのは、バングラデシュのそれまでの状況だ。バン
グラデシュの一般的な銀行は、入り口に銃を持った警備員が立ち、無用な人たち
が近寄らないように警備している。融資する相手は資産家ばかりで、貧しい人た
ちなど相手にしない。


 では貧しい人たちはどうするのかというと、苗を購入するときに仲介人から借
金し、収穫時に返済するしかなく、金利にすると数百パーセントになるような莫
大な借金を負うのだ。そのため土地を持たない人々がお金を借りるとなると、そ
の門戸はさらに厳しく、千円程度の借金を返せないために土地を取られ、家族が
離散し、娘を売らざるを得なくなるような状況だった。


 かつてバングラデシュは、世界でも有数の農作物生産量があり、豊かな国に数
えられていた。しかし独立後、ハリケーンの被害もあって、飢え死にする人々が
出るほどの状況になった。



▼創設者モハメド・ユヌス氏の抱いた疑問

 グラミン銀行の創設者で、当時バングラデシュのチッタゴン大学で教鞭を執っ
ていたモハメド・ユヌス氏は、自分の教えている経済学に疑問を感じていた。

「大学の外に飢えて死んでいく人たちが見える。
その人たちを救えない経済学に、なんの価値があるのだろうか」と。


 やがて彼は「その人たちは信頼に値しない人たちなのだろうか」という疑問を
持ち、学生たちと共にその実態を調査した。その結果わかったことは、一家離散
してしまう人々の平均的な借金額は、今の日本円にしてわずか千円ほどのものと
いうことだった。また、イスラムの教えが強いために、女性は家の中にいて経済
活動に参加することができなかった。

 そこで彼は、お金に困っている人々に自身のポケットマネーから融資をしてみ
た。融資は成功だった。彼らはきちんと約束を守り、返済したのだ。

 この成功から、モハメド・ユヌス氏は銀行に相談し、「貧しい人たちに融資し
ないか」と訴えた。しかし銀行側は、この提案を頭から否定した。「何も持って
いないあんな連中に融資しろと言うのか」と。


 そこで、銀行が融資をしないのならばと、彼自身が銀行を設立することにした。
国際機関から融資の元手になる資金を借り、それを貧しい人たちに融資した。
そのときに作ったのが、現在のグラミン銀行の融資の仕組みだ。


(中略)

 そのような状況で始められようとしているのが「日本版グラミン銀行」の仕組
みだ。設立を準備している財務省出身の菅正広・明治学院大学院教授によれば、
グラミン銀行と同様に5人の「連帯責任者」を組んでもらい、そこに最大20万円の
融資額(初回)を行うという。


(中略)


▼日本版グラミン銀行は「サラ金」に勝てるか?

 さらに言うと、日本には「サラ金」が存在する。「おカネのない、他の金融機
関から借りられない人たちに簡単な手続きで融資する」ことはできるのだから、
金融界全体から見るなら「新しい業態」ではない。金利を無視してそう見られた
のなら、日本版グラミン銀行の設立は許されないことになってしまう。そうなる
と、金貸し業をするためには、いわゆる「サラ金規制法」である「貸金業法」に
登録した業者とならなければならない。


 私たちは25年前から「未来バンク事業組合」という、非営利の「貸金業法登録」
の事業をしている。貸金業法に登録しているのは、上に述べたような規制のためだ。
私たちは、現在の銀行などの融資に、大きな問題があると思っている。バングラ
デシュで見られたように高額預金者と資産のない人々への対応は異なるし、かつ
ては一般人への住宅ローン貸し出しも手がけない銀行が多かった。そして資金の
融資先は、銀行の出自と同じ財閥系の問題ある事業者が多い。


 日本の人々は、何も知らないから銀行に預金するのではないかと思うほどだ。
環境や人権に問題のある原子力や戦争の武器製造者に融資しているのは、大手銀
行や生命保険事業者だ。政府が短期国債を発行して銀行の資金を集め、政府が購
入しているのはアメリカ国債だ。アメリカは財政赤字と貿易赤字に悩まされてい
て、資金がない。アメリカが世界で戦争できるのは、日本からの国債購入がある
おかげだ。イラク戦争が多くの人々を殺すことができたのは、私たちが銀行に貯
金していた資金があったおかげなのだ。


 さらに、原発事故を起こして実質的に破たん状態になっている東京電力を買い
支えたのは、銀行系のファンドと生命保険会社だった。そしてその損失を恐れる
あまり、破綻すらさせていない。

 私たちの預けた私たちの貯金は、私たちの意図に従っていないのだ。


 貧しい人々が借金する「サラ金」に対しては、やっと規制がされるようになっ
た。その人の年収総額の3分の1以上は貸せなくなったのだ。サラ金が個人の経済
破たんを招き、個人の生命保険から返済させるために自殺を招くような仕組みを
防ぐために作られた規制だった。しかしその規制は、「サラ金」すなわち「貸金
業法登録事業者」にしか適用されなかった。つまり銀行は規制を受けていないのだ。


 予想通り今、貸金業法の規制を受けない「銀行」は、その人の収入を無視して
貸し出し始めた。返済されなかった場合の補償と融資審査をサラ金に請け負わせ
ている。おかげで規制されて減り始めていた個人の経済破たんは、銀行が貸し出
すことになって再び増加傾向にある。あなたの貯金が個人の経済破たんにも関係
しているのだ。


 こうした実情を見るにつけ、金融に新たな「非営利部門」に対応する法が必要
になっていると思う。おそらくこのままでは、「日本版グラミン銀行」は、サラ
金を規制する「貸金業法登録事業者」としてしか存立できないだろう。そうなる
と、国家試験である「貸金業取扱主任」合格者が必要になり、「ドアを蹴ったり
しないように」といった研修を受けさせられるのだ。従来の金融の問題に目覚め
て非営利の金融を設立しようとする人たちに、「ドアを蹴るな」といった研修が
必要だろうか。・・・


 全文はこちらよりご覧ください⇒ http://www.mag2.com/p/money/352614


<<主な内容>>

・「日本の貧困」をマイクロファイナンスで克服するための条件
・「グラミン銀行」とは?
・創設者モハメド・ユヌス氏の抱いた疑問
・なぜ男性ではなく女性に融資?
・バングラ最大の銀行に
・「日本版グラミン銀行」に立ち塞がる我が国の問題点
・日本版グラミン銀行は「サラ金」に勝てるか?
・「日本の貧困」を救うための条件



他、マネーボイスでの田中優記事はこちら↓↓



◆官僚だけが大儲け。日本を破壊する「水道民営化」のトリックに騙されるな=田中優 (2017.9.28)
http://www.mag2.com/p/money/308966



◆「人をお金に依存させる」ベーシックインカムの問題点と貧困解決の重要点=田中優 (2015.12.10)
http://www.mag2.com/p/money/6664


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http://www.mag2.com/m/0001363131.html



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◆自民・船田氏「まず9条加憲、次に2項削除を」◆

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田中優より

改憲に向けて、こんな流れにするつもりだそうです。
最初の一歩を否定しないといけないですね。


  ◇   ◇   ◇   ◇  


▼「自民・船田氏「まず9条加憲、次に2項削除を」」
https://www.asahi.com/articles/ASKDP7HNZKDPUTFK01T.html


 現実論に即して、まずは2項をそのままにして自衛隊を加憲するというのが
当面とるべき道である。それで終わったらいけないと思う。それで終わったら
姑息(こそく)だ。さらに、2段階目を考えていくことをすれば、筋論に近づ
いていくと思う。(BSフジの番組で)




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◆資本主義に危機 租税回避、公正な競争阻害◆

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田中優より

資本主義がまともに機能するために必要な条件があります。


  ◇   ◇   ◇   ◇  


▼「[FT]資本主義に危機 租税回避、公正な競争阻害 」
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H1C_X10C16A9TZN000/


・・・そこへ登場したのが欧州委員会だ。欧州連合(EU)の執行機関、欧州
委員会で競争政策を担うベステアー委員は8月末、アイルランド政府に対し、
アップルに過去に与えた税優遇分130億ユーロ(約1兆4900億円)を追徴課税す
るよう命じて話題になった。ちなみに、同社は税務当局の手が及ばないオフシ
ョアに、推定2150億ドル(約21兆9000億円)もの資産を保有している。



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◆おススメ映画 劇場版「ほたるの川のまもりびと」 予告編◆

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田中優より

映画になって見ることで、そこにいる人の体温を感じられるようになる。
言葉だけの話ではなく、生きる人々の体温を感じてほしい。


  ◇   ◇   ◇   ◇  


▼「劇場版「ほたるの川のまもりびと」 予告編」
 https://youtu.be/ngZ8VncJkng


2018年劇場公開予定の劇場版「ほたるの川のまもりびと」
長崎限定の先行試写会ツアーが決定!
先行試写会特設サイト http://hotarunagasaki.strikingly.com/


半世紀もの間、ダム建設に抗いふるさとを守り続ける人々
美しい里山に暮らす13世帯をめぐるドキュメンタリー


〜あらすじ〜

朝、子どもたちが学校に行く、父と娘がキャッチボールをしている、
季節ごとの農作業、おばあちゃんたちがおしゃべりをしている。
それは一見、ごく普通の日本の田舎の暮らし。
昔ながらの里山の風景が残る、長崎県川棚町こうばる地区にダム建設の話が
持ち上がったのが半世紀ほど前。

50年もの長い間、こうばる地区の住民たちは、ダム計画に翻弄されてきました。
現在残っている家族は、13世帯。
長い間、苦楽を共にしてきた住民の結束は固く、54人がまるで一つの家族のようです。

ダム建設のための工事車両を入れさせまいと、
毎朝、おばちゃんたちは必ずバリケード前に集い、座り込みます。

こんなにも住民が抵抗しているのに進められようとしている石木ダム。
この作品には「ふるさと=くらし」を守る、
ぶれない住民ひとりひとりの思いがつまっています。



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◆石木ダムより「水道漏水対策を」 市民団体請願、不採択 ◆

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田中優より

市議会が不採択にするのっておかしくないか。
「ダムを造るより先に、11%を超える漏水を止めたらどうか」って
当たり前のことではないの?


  ◇   ◇   ◇   ◇  


▼「石木ダムより「水道漏水対策を」 市民団体請願、不採択 /長崎」
https://mainichi.jp/articles/20171221/ddl/k42/010/256000c


 佐世保市議会は20日、12月定例会最終本会議を開き、一般会計補正予算
案など20議案を可決した。石木ダム建設に反対する市民団体「石木川まもり
隊」などが市の市民意識アンケート結果に基づいて出した「新たな水源確保よ
り、水道施設の更新・整備を求める請願」は賛成少数で不採択とした。



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・第148号「fragile(上) 主な意味(壊れやすい、もろい、虚弱な、かよわい、はかない)」(10/15号)



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